創建時不詳。 元禄12年 (1699年) に再建、 さらに天保9年 (1838年)、 京都の大工棟梁、 長谷川佐多郎と栢原の彫刻師6代目中井権次正貞により改築された。 甲賀山の左麓を登って神社にたどり着く。
一見、 コンパクトに見える社だが、 社殿の彫刻の見事さには驚かされる。 特に本殿の木組みの多彩さは、 目を見張るものがある。 それぞれの柱の隅や中間部には、 唐獅子、 獏、 象、 馬足の竜などの聖獣が所狭しと姿を見せている。 長寿の象徴の亀、 鳳凰、 やや小ぶりの竜、 また兎も散見される。 左の脇障子には2頭の唐獅子、 右のそれには牡丹の花の下に大きな唐獅子がいる。 6代目正貞の銘がある。
珍しいのは、 本殿の天井に竜のすばらしい彫り物があることだ。 棟梁の縁者の長谷川佐市郎のものである。 長谷川家と中井家の合作の趣がよく感じられる。
元高校教諭 岸名経夫