新綾部大橋を渡り、 国道27号線を右折して少し行った所にある。 往時は真言宗の井上寺と称していたが、 今は地名にその名が残っているだけで、 現在は臨済宗妙心寺派の禅寺である。 創建は永正15年 (1518年) の古刹。 毎年7月8日には、 きゅうり薬師大祭として有名な 「きゅうり封じ」 の行事が行われている。 小高い築山状にも見える裏庭には、 垢抜けした18体の羅漢さんが鎮座している。 住職さんは進取の気持ちを強くお持ちの方で、 ホームページにも多彩な文言が出ている。
数は少ないが、 文政2年(1819年)建立のここの観音堂に、 なかなかの彫り物が目に入る。 正面虹梁の上に躍動感溢れる竜の彫り物がある。 鑿の冴えも素晴らしい。 とりわけ、 中井一統の彫り物のシンボル、 宝珠が中央に設けられ、 安定感を増している。 木鼻にも迫力ある獏が設えてある。 「彫り物師、 栢原住人、 中井権次正貞」 とある。
元高校教諭 岸名経夫