創建時不詳だが、 柏原八幡宮と同様に、 石清水八幡宮より分霊された神社。 祭神は応神天皇、 武内宿、 春日神である。 特に武内宿は長寿を全うした人物として、 また災厄を払う高徳の神として、 厄除の名を加えて厄除八幡宮と称している。
急な石段を百数十段上って社殿に辿りつく。 三間社流れ造りだが、 虹梁が4つもある立派な本殿である。 向背の左右に阿吽の竜がいる。 兎の毛通しには、 鳳凰が大きく羽を広げている。 木鼻には2頭の獏、 中央向背の柱には、 麒麟が睨み合っている。 定番の唐獅子は前を向いている。 向背上部には謡曲高砂の尉と姥の彫り物が見える。 蟇股 (かえるまた) には鶴、 鷹、 山鳩、 唐獅子、 そして飛龍も見える。 肘木鼻には兎も彫られ、 手挟みには、 垢抜けした牡丹の籠彫りが見える。 さらに屋根の端にも鶴が飛翔している。 天保8年 (1837)、 6代目中井権次正貞と弟の中井清次良正用の合作である。
元高校教諭 岸名経夫