気象研究所主任研究官 足立光司さん

2015.06.11
たんばのひと

汚染物質の謎を解明

(あだち こうじ)茨城県つくば市在住

 1977年 (昭和52) 丹波市柏原町生まれ。 柏原高校、 神戸大学発達科学部卒。 同大学修士、 博士課程修了。 米アリゾナ州立大学研究員、 気象研究所研究官を経て現職。

 大気中の排気ガス、 煤煙などに含まれる汚染物質などの微粒子を研究している。

 中国から日本の上空に飛んでくるPM2・5も研究の対象。 「PM2・5は、有機物やススの微粒子。 アジア地域全般に影響をもたらしている。 日本に到達した微粒子を測定したり、 気候の影響をシミュレーションする作業も行っており、 日本の研究をモデルにしたい」 と意気込む。

 大学院修了後は、 アメリカに留学。 世界各国の研究者とともに、 大気汚染が地球規模で人や自然へ与える影響を研究し、環境問題を世界的視野でとらえる機会になった。

 1ミクロン (1の1000分の1) よりも小さい0・2ミクロンから0・01ミクロンなどの微粒子を電子顕微鏡で観察する。 東日本大震災時には、 福島第一原発の事故で大気中に放出した放射性汚染物質を観察した。 「放射能を持った粒子を、 電子顕微鏡で初めて見た。 セシウムボールという丸い粒子だった」 と話す。 この模様は、 「謎の放射性物質を追え」 というタイトルで、 昨年12月にNHKテレビの 「サイエンスZERO」 という特集番組で放映された。

  「汚染物質にどのような物質が含まれているのかを突き止めるのが大きな研究テーマ。 水溶性かどうかなど性質の解明も重要ポイント。 地球気候や人をはじめとした自然環境への影響を明らかにする基礎データの提供が役目」という。

  「自然の多い丹波で育ち、 自然現象の不思議さに興味を持ち、 気象を研究テーマにすることになった。 微粒子を解明することで、 未知の世界が広がる」 と研究の面白さを語る。

  「多忙な研究生活で一息つくのは、 2歳の長男とのふれあい。 父母の住む佐治 (丹波市青垣町) に里帰りするとほっとする」 と笑顔を見せた。

 

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