秋から始まるNHKの朝ドラ「あさが来た」の原案本である『小説土佐堀川』(古川智映子著)を読んだ。この本に春日町山田出身の女性、井上秀が登場していることを知り、手に取ったのだ。▼『土佐堀川』の主人公は、明治時代を代表する女性実業家の広岡浅子。炭鉱を経営し、銀行を設立、大同生命の創業にもかかわるなど、大仕事を成し遂げた一方で、女性にも高等教育をと、日本女子大学校の創立に尽力した。▼浅子の娘が京都の女学校で学んでいたときに、同級生だったのが井上秀。その縁で秀は浅子と知り合い、身近に接して感化を受けた。日本女子大学校の一期生として入学し、卒業後はアメリカに留学。同大学校の教授となり、校長(学長)も務めた。▼同書では、2人の初めての出会いの場面も描かれ、「浅子は秀のことを、人間には活力が大切であるという自分の主張にぴったりの娘だと思った。秀を手塩にかけて育成してみたいという気持ちが動いた」とある。娘のようにかわいがった秀は、アメリカ留学から帰国後、浅子が企画した女性対象の講習会で講師を務めた。講習会の参加者には、のちに政治家として活躍した市川房枝がいた。当時、房枝は秀を慕う女学生だった。▼朝ドラに秀は登場するだろうか。秋からの放映を楽しみに待ちたい。(Y)