県立柏原病院の小児科は7月1日から、外来を2診から1診に縮小し、初診は原則、紹介患者のみに診療体制を変更する。今月末で同科常勤医師1人が退職するためで、日曜の夜は小児救急輪番体制が組めず、救急搬送先は丹波地域以外の病院になる。後期研修医を含め、一時7人にまで増えた同科医師は7月から3人になる。
退職するのは、男性医師(48)。2007年にいったん辞意を表明したものの、「県立柏原病院の小児科を守る会」など医師を守る住民運動で翻意し勤務を続けてきた。年齢的に、かねてから思いがあった開業医への転身の最後のタイミングと、退職を決めた。退職後も、しばらくは非常勤医として発達と慢性疾患の専門外来を担当する。
残る医師は60歳代と40歳代の2人の計3人。神戸大学やほかの県立病院の日当直応援を得て診療を続ける。
丹波地域の2次救急輪番は、兵庫医大ささやま医療センターがこれまでの水曜に加え、木曜も担当。月に1度、第2日曜の日中も担当する。
県立柏原がそれ以外を担当するが、日曜の夜(午後5時半以降、翌朝まで)に穴が開く。
同科は昨年度外来1万768人(延べ)、入院4563人(同)を受け入れた。救急患者数は1749人と内科より多く、同病院の診療科の中で最も多かった。
救急車で搬送される患者のうち、半数近くが丹波市外に流出する中にあって、同科は70%以上収容するなど、市内唯一の小児科入院施設として役割を果たしている。篠山市の患者も受け入れており、丹波地域の小児医療の中核の責任を担ってきた。
退職する医師を含め、2010年度から正規職員4人は同じ顔ぶれで診察を続けてきた。後期研修医の出入りがあり、一時期7人にまで増えたが、昨年度から後期研修医がいなくなった。
同病院の坂原康利管理局長は「地域の小児医療を守る使命を果たせるよう各方面に働きかける。不便をかけるが、理解と協力をお願いしたい」と話している。
同科の外来制限は、常勤医が2人になった07年4月から―10年末まで続いた。医師が増え診療体制が整った11年1月に解除された。
10月から後期研修医1人の派遣を受けられるめどが立っているが、その時点で診療制限を解除できるかどうかは、分からないという。