丹波に電力供給が夢
(あだち ひろし)西宮市在住
1961年(昭和36)神戸市生まれ。54歳。神戸市立工業高等専門学校機械工学科4年終了後、大阪工業大学短期大学部建築学科に編入し、卒業。建築会社勤務、建築設計事務所自営などを経て父の崇さん(丹波市山南町草部出身)の創業した会社の後を継いだ。
1965年に設立以来、JR西日本の各駅の新築・リニューアルに伴う電気設備工事や住宅の電気、通信、空調設備工事などを手がけてきた。数年前からは、太陽光発電に力を注いでいる。
太陽光発電は、約15億円の年間売り上げのうち、11億円を占める会社の大きな柱。関西を中心に、島根県などにもパネルを設置している。普及するに連れ、受注も増えたため、発電事業や設備の保守管理に当たるリケンエナジーという子会社を設立した。
「太陽光発電の新規設置はピークを過ぎた。これからは、メンテナンスが求められる」と力説。関西を中心に、九州から東北にまたがる同業者に呼びかけて、非営利の日本太陽光メンテナンス協会も設立した。計測や検査機器は高価で、一社では負担が大きすぎるため、資金を負担し合い、助け合う。30社が加盟しているが、100社の加入を目標に置く。互いに切磋琢磨しながら、技術力向上をはかりたいという。
機械工学分野だけでなく、建築も学び、建築会社でも働いた経験が太陽光発電事業に生かされている。「土木、建築、電気など多方面の知識や技術を持つ社員がおり、設計から保守管理まで一貫して行えるのが強み。太陽光発電所敷地内の草刈りもやりますよ」と笑顔。
父のふるさと、山南町に中兵庫営業所を設け、同町や春日町にも太陽光発電のパネルを設置した。丹波は父に連れられて、幼い頃から訪れた思い出の地。先祖代々のお墓もあり、愛着も深い。「将来は、売電だけでなく、電力小売り事業にも参入し、地域に安く電気を送れるような、電力の地産地消をめざしたい。丹波のみなさんのお役に立てれば」と夢は膨らむ。