篠山市が日本遺産認定に続いて、ユネスコの創造都市ネットワークへの加盟が決まった。篠山の明日に光が差した感もあるが、将来を考えるときに見過ごせないデータがある。▼人口が2060年には2万973人になり、15年と比べて半分ほどになるという推計データが出ているのだ。人口減少は、地域の経済、福祉、教育などさまざまな分野に影を落とす。将来に対する楽観を許さないデータだ。▼篠山市が誕生した16年前の新市建設計画には、「平成20年には6万人都市を目標とする」とあった。合併に伴うイメージアップや福知山線複線化などを理由に人口の社会増が見込まれるとした。今となれば何ともむなしい6万人構想だ。▼とはいえ、篠山には可能性がある。篠山市の誕生時から調査研究をしてきた社会学者たちの成果をまとめた本『成熟地方都市の形成』が発行された。同書では、篠山を「由緒ある田舎」とし、「ターン、Uターンできる生活の『豊かさ』を享受できる地方都市社会の可能性を篠山にみることができる」としている。▼他地域よりも豊かな可能性が篠山にはある。いかに可能性を引き出し、まちづくりに生かすか。6万人構想のような絵空事に終わらせない取り組みが求められる。篠山の存在感を国内外に示した今、これからが正念場だ。(Y)