丹波市での起業を支援
篠山市商工会事務局長を最後に退職。翌年の2014年4月、丹波市商工会春日支所内に開設された「たんばチャレンジカフェ」で、商工会職員として約40年間働いたキャリアを生かし、同市商工会と連携を取りながら起業支援に当たっている。同カフェの相談員になってから昨年10月までの1年7カ月、丹波市内で起業したのは27件で、40歳代前半が多かった。「相談員になった当時、起業するのは第二の人生を求める世代が多いと思っていたのに、若い人が多く、驚きました」と話す。
事業計画書作成のアドバイス、融資や補助金の相談、専門家の派遣などのほか、起業に関するセミナーも企画している。
「相談者の中には、『丹波にはおいしいものがたくさんある。地域の特産品を使って安全で安心な商品を提供する店をつくりたい』と言われる人がいます。でも、これは丹波でなくても通じる話」と酒井さん。おいしいものとは何をさし、それをどうしたいのか。どんな加工技術を持ち、販路をどう考えているのか。細かく詰めていき、事業計画を具体化させる。
起業した27件は飲食業、卸小売業、サービス業など。男女比では女性の割合が高く、ターン者が多い。「ターン者の中には、丹波市とは人的ネットワークがあると言われる人がいる。ターン者を受け入れようと、情報を発信している人たちが市内におられるからでしょう」。起業先を訪問するなど、フォローアップにも力を入れる。「起業率のアップだけでなく、起業された人の廃業率を下げることも大事と考えています」という。
「人との出会いもあり、毎日が新しい」とほほえむ。62歳。