戦国時代、丹波攻めを行った明智光秀が築いた兵庫県篠山市般若寺の「般若寺城跡」。高城山の八上城に相対し、降伏した城主の波多野秀治とも対面したと伝わる歴史の大舞台だが、現在では木が生い茂り、山城は跡形もない。そんな貴重な遺産を地域づくりに生かそうと、住民らでつくる「般若寺史跡を守る会」が、城跡とされる山頂の整備活動に取り組んでいる。住民は、「せっかくある史跡。きれいにして地域外の人や子どもたちにも知ってもらえるようにしたい」と話している。
般若寺城は、同地区にある正覚寺の裏山「井根山」の山頂。天正6年(1578)に明智光秀が八上城を包囲攻撃するための「向城」として築いた。篠山川を隔てた正面に八上城があり、監視所として最適な位置にある。
主郭や曲輪などが築かれているものの、近年、雑木林のようになっており、荒廃が進んでいたため、住民の小島博久さん(65)が「守る会」を結成。自治会や住民の協力を得ながら、市の「地域の歴史を活かしたまちづくり事業」を活用し、雑木の伐採や説明板の設置などに乗り出している。