地域で活動するマジシャン 田淵幸子さん(篠山市八上内)

2016.03.27
たんばのひと

介護予防体操の普及も

 マントと小さなハットをかぶった72歳のマジシャン。「メダカの花子」と名乗る。

 「失敗することもありますけど、その時は大きな声で笑ってください」と観客を前に宣言した後、本当に小道具が落ちる。つながるはずのハンカチがつながらない。大爆笑の会場に、「そうそう、笑顔は健康にいいですからね」。これも一つのご愛嬌。コインが消え、球が出てくるなど、しっかりとマジックも見せ、観客を魅了する。

 退職後の楽しみとしてマジックを始めて5年。本を読んで覚えたネタは50を超える。

 笑顔を振りまく元気な姿とは裏腹に、4年前、交通事故に遭い、膝や大腿骨を骨折する大けが負った経験を持つ。

 九死に一生を得た後、誘いを受けて篠山市が介護予防のために普及を目指している体操「いきいきデカボー体操」に出合った。筋力トレーニングを通して、寝たきり状態になることを防ごうというものだ。

 いすに座り、ゆっくりと腕や足を動かす。多くの人と一緒に運動することも楽しかった。気持ちも若返り、弱っていた筋力はいつしかしっかりと骨を支えるまでになっていた。

 体の復調と同時に、メダカの花子も復活。介護施設などでマジックを披露しているほか、コーラスにグラウンドゴルフと、多忙な日々を送る。

 文字通り支えになったデカボー体操への思いは強く、市健康課の職員とともに各地を巡り、自分の体験談を話すなど、普及に協力。「市内100カ所」を目標に体操の良さを伝えている。

 マジックはいつも人形の権兵衛どんと一緒。相棒はクイズの出題が得意だ。

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