旧国鉄篠山線の線路跡地におもちゃのレールを1敷いて列車を走らせるイベントを見物に。八上から日置にかけての真直ぐな農道が、関西一円から集まった子供連れや鉄道ファンでぎっしり埋まった。▼辺りはのんびりとした田園地帯で、「この風景は廃線になった44年前と全く変わりません」と、自治会長さんが胸を張ってあいさつ。2両連結の車両がゴトゴトと走っているのを想像しながら、当時の写真を印刷した記念のTシャツを買い込んだ。▼通学や通勤に使っていた人たちも来て、「高校生の頃、顔馴染みの運転士さんたちに可愛がられ、石炭をくべるのを手伝った。家の付近まで来たらスピードを下げてくれて、飛び降りた」。「わしはよく乗り遅れていたけど、追っかけて行ったら引き返して乗せてくれた」などと話しながら懐かしんでいた。▼以前の新聞社にいた頃、鉄道の見直しを提起する連載記事の編集会議で、篠山ファンのやや変わった記者がいて「篠山線を延長して宝塚につないでいたら『宝の塚から福住へ』というキャッチフレーズで人を呼び寄せられたのに」と話していたのを思い出した。▼軽便鉄道のようなものを復活させて、デマンドバス代わりや観光客の黒豆狩の足として活用すれば、地方再生のモデルになるかもしれない。全くの夢物語だろうか。(E)