「丹波布」指導員で唯一の男性技術者 廣内 良さん(丹波市青垣町佐治)

2016.04.17
たんばのひと

分かりやすく技術伝える

 丹波布伝承館(丹波市青垣町西芦田)の指導員として、国指定選択無形文化財「丹波布」の技術を長期伝承教室の生徒に教えている。開講19年目になる同施設唯一の男性技術者で指導員。「学ぶために越してきたり、仕事を辞めたりと人生を変えて来ている人がいる。『ここで教わって良かった』と言われるよう、分かりやすく伝えていきたい」。

 大学卒業後、京都市内のジーンズショップに就職。ジーンズも綿の織物。伝承館の指導員だった母の朝子さんと話をする中で丹波布に興味を持った。「まともに働いて、土日に趣味でやれ」と父は反対したが、2年間待って6期生で入講。専修生として計4年学び、指導員に。男性が1人の環境は、「職場も女性が多かったし、自分は抵抗がないけれど、周りに気を遣わせているかもしれない」。

 目で見て自分で盗めでなく、「何センチ、何回」と具体的な指導をするよう心掛けている。その一つとして伝習生用の教科書を新しくした。10期生から本格運用する教科書は、先輩、後輩と協力し、棉の栽培から機織りまで31の工程を、イラストをふんだんに使ってまとめた。

 丹波布第一人者の足立康子さんから直接指導を受けた先輩から聞いた話を文章にまとめ、足立さんの制作過程をビデオで調べ、「康子先生がされていたように織れるような教科書にした」。

 丹波布の技術をつないでいくことに興味があり、「織った物を売る気がゼロ。織り上がった時点で、やりたいことが終わっている」と、作品は手元に残している。「丹波布を広めていく部分は、先輩や、自分が教えた技術者にしてもらい、自分は、一番やりたい、技術伝承に力を注ぎたい」。44歳。

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