「意思尊重する仕組みを」
丹波地域などで高齢者や障害のある人の金銭などを含めた権利を守る「権利擁護活動」に取り組むNPO法人「ウィズ・ユー」を設立。社会福祉士や弁護士、司法書士の仲間たちとともに、成年後見制度などを活用し、借金や家族の間での金銭問題、消費者詐欺などの解決に奔走する。
元篠山市職員。高校を出てすぐに入庁し、28歳から健康や福祉関係の部署へ。介護保険制度が導入される際にも担当職員として制度設計に携わった。
「あの頃は介護保険なんてわからなかったし、『福祉の心』もわからなかったですね。でも人の話を聞くことが負担ではなかった」
日々の業務や勉強を通し、少しずつ「支援」の奥深さに気づき始めた。介護、医療に始まり、困窮、虐待、相続―。さまざまな問題が身近な地域にある。そこに介入し、関わった人々が少しでも自立を目指して前向きになっていく姿を見られる仕事にやりがいを感じるようになった。
保健福祉部長を最後に退職し、現在は、篠山市社会福祉協議会の事務局長も務めながら、培った人脈を生かして法人を結成。「高齢者でも障がい者でも、その人の意思を尊重する」。それを反映させる仕組みづくりが、32年間、福祉に携わってたどり着いた答えの一つだった。
「自分でもなぜやっているのかわからないけれど、いろんな人と出会いがあって、一緒に一歩を踏み出すことが好きなんでしょうね」
市や社協の職員として、東日本大震災や熊本地震の支援活動にも自ら飛ぶ。現場に行かないとわからない感覚があり、それが次の支援につながると考える。61歳。