「地下たびの少年鉄材肩にしてビルの向かうの青空へゆく」。山南町出身の歌人、原谷洋美さんの歌だ。俵万智氏の『花咲くうた』に収録されている。とび職の少年が鉄材を肩に担い、職場である高い場所に向かっている様子を詠んでいる。▼少年と青空。この言葉の取り合わせがさわやかで心地よい。俵氏は、原谷さんの歌について「『青空へゆく』という簡潔で思い切った表現がとても印象的だ。青空にはたぶん、力強い少年の未来のイメージも、重ね合わされているのだろう」と解説している。▼中国では、方位に色をあてる習慣があり、青空の「青」の方位は東とされる。東から日が昇り、新しい一日が始まるように、青は、みずみずしい生命力をイメージさせる。少年に青空が似合うのも道理だ。▼アジサイがあちらこちらで咲いている。アジサイという言葉は「あじ」と「さい」に分けられ、「あじ」は、小さなものがたくさん集まっているという意味。「さい」は「とても藍色が強い」という意味らしい。だからアジサイは、「集まって咲くとても青い花」という意味になる。▼参院選が公示された。この選挙から、18歳から投票ができる。若いイメージが重なる青いアジサイが今、生き生きとしているように、選挙権を得た若い人たちも前向きに一票を投じてほしい。(Y)