天国の娘からお父さんへプレゼント―。篠山市北新町の障がい者短期入所施設「おかえり みずほの家」代表、山中信彦さん(60)に13日、関西の自慢のパパに贈られる「第10回ベスト・プラウド・ファーザー賞in関西」(日本生活文化推進協議会)が贈られた。障がいを抱えた最愛の娘を亡くして5年半。娘への思いを込めた施設で、たくさんの利用者の“お父さん”として愛情を注ぐ山中さんは、「娘がいてくれたからもらえた賞。ありがとうと伝えたい」と話していた。
同賞は、毎年、各界で活躍する父親に贈られるもので、今年は一般部門の山中さんのほか、▽政治部門=大阪市長の吉村洋文さん▽経済部門=西日本電信電話株式会社社長の村尾和俊さん▽学術・文化部門=人間国宝で、・人形浄瑠璃文楽太夫の竹本住太夫さん▽スポーツ部門=柔道家の篠原信一さん▽芸能部門=漫才師の中川家・剛さん、礼二さん▽ものづくり部門=ハウル食品グループ本社会長の小瀬昉さん▽特別部門=読売テレビアナウンサーの清水健さん―が受賞した。
山中さんは、篠山鳳鳴高校を卒業後、関西学院大学を経て全日空に入社。しかし、長女の瑞穂さんが生後40日でヘルペス脳炎にかかり、重度の脳性まひになったことから、同社を退社。帰郷し、旅行業を営むかたわら、医療ケア付きの小規模作業所「紙ふうせん」、NPO法人「いぬいふくし村」を設立するなど、娘も含めた障がい者の社会参加を進めてきた。
笑顔の絶えなかった瑞穂さんは2009年11月1日、家族に見守られる中、24歳の若さで旅立った。直前には涙を流し、家族の手を強く握りしめたといい、山中さんは、「お父さん、お母さん、ありがとう、と言ってくれたのだと思っている」と振り返る。
その後、瑞穂さんを育てた経験から、妻の泰子さん(60)や家族とともに、「障がいのある人も、その家族がくつろげる時間を」と、自宅を改装して短期入所施設を開設。バリアフリーの音楽祭「兵庫・篠山 とっておきの音楽祭」の開催にもかかわるなど、障がい者と地域をつなぐ懸け橋を目指している。
帝国ホテル大阪で開かれた授賞式には、山中さんの友人、知人ら約80人が駆けつけ、受賞を祝福。著名人とともに舞台に上がった山中さんは、「天国にいる娘が喜んでくれると思ってお受けすることにした」と感謝。「受賞を機に、より多くの障がいのある人たちの“父親”になれれば」と話した。
泰子さんは、「一人でできることではなく、多くの人に感謝したい。体に気を付けて、みなさんのためにがんばってほしい」とエールを送っていた。

























