障がい者就労継続支援B型施設「ら・ぱん工房 来古里」代表理事 見忠寿さん(丹波市市島町喜多)

2016.07.24
たんばのひと

“仲間”とともに店づくり

 昨年3月から、障がい者就労継続支援B型施設「ら・ぱん工房 来古里」(丹波市市島町上牧)を営む。10人の働く“仲間”とともに、パン作りと販売に取り組んでいる。

 市島中学校時代、父親が亡くなり、地域の人に温かい声をかけ続けてもらったことが、感謝の気持ちとして胸の内にあったという。「お世話になった地元の人に恩返しができる仕事をしたいと思っていました」と話す。

 高校3年生のとき、たまたま手に取った本が、介護の仕事を紹介する一冊だった。興味を引かれ、介護の専門学校に進学。卒業後は神戸市で、パン製造を通じた障がい者就労支援のほか、在宅支援にも携わった。

 念願だった、地元での施設開所。早朝、当番者とともに、オーブンの電源を入れるところから1日が始まる。パンを焼いたり、ラスクの製造、商品の袋詰めや生地のガス抜き。ホールでの接客や訪問販売など、それぞれが“できること”をチームワーク良く、和気あいあいとこなす姿をほほ笑ましく見守っている。「開所当初は、もっと自分が働きまわらないといけないと覚悟していたんですが」と笑う。

 「ここでは働くみんなが主役」と語る。短所を直すのではなく、長所を伸ばして仕事に生かし、それが日常生活にもつながればと考えている。「常識に当てはめるのではなく、性格や障がいの特性に合わせて、できることを楽しんでもらっています。小さな施設だからこそできる支援を目いっぱいしたい」と話す。

 施設で働く人のことを、「仲間」と呼ぶ。「利用者じゃない。一緒に店をつくっていく仲間なんです」。33歳。

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