「絵のある暮らし」楽しむ
今月、改装オープンしたビジネスホテル「パークイン・カイバラ」(丹波市柏原町母坪)のロビーで、10月末まで水彩画展を開いている。
祖父が水墨画家で、絵に親しむ環境で育った。柏原高校時代は美術班に所属。20歳代で家事、育児が忙しくなり、いったん絵から離れた。姑、夫、舅の3人を見送り、辛い時期を過ごした40歳代を経て、「何か自分の芯になるものを持ちたい」と、好きだった絵に再び取り組み始めた。その時に入った青垣町の絵画グループ「イーゼルの会」は今も参加している。
50、60歳代は制作にも脂がのり、県展入選、丹波の森美術展で2度の大賞をとった。大賞作品のモチーフはともに「白菜」。畑でとれた野菜や庭の花を描くことが多い。最近は公募展への出品はしておらず、喜寿の記念にと2年前、木彫を趣味にしている親族と一緒に、養父市大屋町でコラボ展を開いたことは「“大仕事”だった」と振り返る。
昨年1年間、月2回のペースで一緒に絵を描いた中学生は今年、高校の美術コースに進学した。また、知人から声がかかり、東日本大震災のチャリティー企画で絵はがきの提供を続けている。絵はがきの売り上げは、被災者への義援金となっている。「絵を通して誰かの力になれているのがうれしい」。
中学時代の恩師が色紙に書いてくれた言葉を今も思い出す。「何でもいい 一つ魂を打ち込めるものがあれば それは大きな力であり 宝である」。
「求めてきた『絵のある暮らし』がささやかでも実現できていると思う。身体の不調もあるが、あと少し元気で描き続けたい」。79歳。