延喜5年(905)に創祀された古社である。慶長5年(1600)と元禄末年(1704)に遷座を行い、明治6年(1873)現在地に今の社殿を再建した。それまで熊野神社と称していたが、延喜式内社芹田神社として現在に至っている。祭神は馴染みはあまりないが、高雄神命(タカノオノカミノミコト)であり、本殿脇には元文3年(1738)の銘のある立派な石灯籠がある。
本殿のある方へ少し登って行く。本殿は一間社流れ造り銅板葺である。ここにある彫り物は、中央向拝に比較的狭い梁間に力強い竜の彫り物が目に入る。骨太の造りである。口を大きく広げ舌の先が鋭く突っ立っている。銅線の髭はないが“いらか”は太くて迫力がある。目の周りの赤色が鮮やか。中央に太い爪で宝珠を握っている。明治6年、7代目中井権次正次が倅8代目正胤を早く自立させるために合作して完成させたと思考される。
中井権次研究家 岸名経夫