「楽しむ」が地域を応援
「つながりクリエイター」―。自分で考えた肩書だ。人脈を広げるのに2種類の名刺を持つことを勧められたのがきっかけ。「名刺に書いたのがよかったのか、不思議といろんなつながりが生まれるんです」と笑う。もう一つの肩書は、「村雲まちづくり協議会副会長」。
京都市内の出身。12年ほど前に陶芸家の夫が篠山にアトリエを構え、6年前に住まいも移した。市中央公民館の料理教室を受講したのがきっかけで、「食」を通したつながりができた。Iターン者らが集うサークルに誘われたり、娘たちが通う小学校のPTA活動を通して気の合う仲間もできた。つながりが、つながりを生んだ。
少子高齢化が進む地域に越してきて、地域は自分たちで動いて維持していくものなんだと気付いた。都市で暮らしている時には感じなかったことだった。
「いくつになっても住める地域づくり」を発想の根底に置く。「村雲大家族計画」と銘打ち、「村雲おしゃべり食堂」、小物や野菜を販売する「イチイチノイチ(市)」など、新しい企画が生まれた。「『こんなんやりたいねんけど』と相談し、やり取りするうちに男性陣がそれに応え、具体化していく」と言う。
だが、まち協の活動が住民に浸透している手応えはまだない。だから今はまず、楽しいことをやる。「足を運んでもらって、楽しんでもらうこと自体が、地域を応援することになる」と呼びかける。
地域のことを自分のこととして考える人が増え、例えば、『あの人の黒豆が食べたい』から村雲に行く、といった温かいつながりがある―。「楽しい」の先に、そんな地域を思い描いている。50歳。