柏原納税協会の会報新年号によると、丹波地域には「創業百年以上」の企業が30社以上ある。やながわ(丹波市)の柳川拓三社長は4代目、北山鉄工所(篠山市)の北山良平社長は5代目。共に明治20年代から続く両社トップの対談が面白い。▼やながわは茶の加工販売のほかタケノコ、松茸などの特産物を扱っていたが、拓三氏が茶を売っていた百貨店で黒豆を勧められて置いてみたのがヒットし、和洋菓子の製造販売に転じるきっかけに。▼鍛冶屋からスタートした北村鉄工所は、鉄骨倉庫や木造住宅に手を広げ、カナダで建築デザインの勉強をした良平氏が起案した薪ストーブがじわじわ売り上げを伸ばしているという。▼両社とも百数十年の間に少しずつ変遷を遂げてきたが、現社長による創意決断は見事だ。柳川氏は「茶業が順調だった時期、ある本に『あなたの会社には“つぼみ”がいくつありますか』と書いてあるのがひっかかった」と語る。企業が長きに渡って栄えていくには、そうした自問が絶えず必要なのだろう。▼さらには「地元の集落が地域の素材を活かして都会の人を呼び込む会社を作ったのに参画」(柳川氏)、「農業高校がボイラーなど竹の利用方法を模索しているのに協力」(北山氏)。地域に根差そうとしている姿勢に何より感銘を受けた。(E)