地域医療支援グループ「ささゆり」代表 松本正義さん(篠山市黒田)

2017.02.12
たんばのひと

当たり前ではない病院

 兵庫医科大学ささやま医療センターを拠点に活動する地域医療支援グループ「ささゆり」(21人)の代表。同センターの受付案内や周辺の清掃、ロビーでのコンサートや各種展示会の開催などを通して、医療スタッフ、来院者や入院患者に笑顔を届けている。昨秋には同センターから感謝状を受けた。

 市自治会長会の会長を務めていた2008年当時、兵庫医科大篠山病院は存続問題に揺れ、隣の丹波市では県立柏原病院、柏原赤十字病院がともに医師不足で疲弊していた。「これで篠山病院もなくなれば大変なことになる」と強い危機感を持った。病院側は「撤退」でほぼ固まっていると聞いていたが、市内の自治会長に署名を呼びかけ、同大学へ直接届けた。

 「もちろん行政の後押しで存続が決まったのだろうが、市民の意思を感じてもらったと思っている」。存続が決定し、新センターの建設が始まったころ、体調を崩して篠山病院へ入院。病床から工事の進ちょくを眺めたこともあり、「人一倍、愛着がある」と笑う。

 センターがオープンすると、存続してくれた恩返しにと、玄関周辺に花を植えたプランターを並べたのが始まり。以来、仲間を募り、10年に「ささゆり」を結成した。「ボランティアは、人からの評価を期待していたら続かない」が持論。普段の活動は「さりげなく」を心掛ける。ただ、「草刈りなどをする“男手”がもう少しほしい」。

 「人は失くして初めて気付くこともある。でも、命を守ってくれている病院は、なくなってからでは遅い。病院はあって当たり前じゃない」。そんなメッセージを発し続けている。75歳。

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