映画「恐竜の詩」監督・脚本 近兼拓史さん(西宮市)

2017.02.19
たんばのひと

まちの姿いきいき描く

 丹波市を主な撮影地とする映画「恐竜の詩」で脚本・監督を務める。来年3月の完成をめざし、今春撮影開始を予定している。映画には市民を本人役で大勢登場させる意向。出演者の公募に、1歳半から80歳代まで200人以上の応募があった。オーディションの準備を進めるとともに、応募書類にしたためられた市民の思いに作品でどう応えるかを考えている。

 生まれ育った神戸市長田区のまちが阪神淡路大震災で焼けた自身の経験から、県内の原風景をテーマに映画を撮っている。3作目で残したい自然を撮ろうと考えた時に頭に浮かんだのが子どもの頃に昆虫採集に訪れた丹波だった。

 ケミカルシューズ産業が盛んだった長田の工場で働いていた出身者に「カブトムシが部屋に入って来る。ミヤマクワガタがたくさんいる」と、夢のような場所の存在を教えてもらった。「都会の子はゲンゴロウを見たことがない。カブトムシはデパートで買う。10年、20年たつと、今より見られなくなる、体験しがたくなるものが増える。いなかの普通の姿を残したい」。

 老人や子どもが登場するいなかの自然を撮る上で、恐竜化石という素材や「丹波三宝」ら特産物、1次産業があることも、丹波に決める理由になった。

 「絶対に残すべき関西の姿。ここで撮ることに意義がある。おもしろいものが色々あり、まちの姿をいきいきと描けそう。恐竜化石を生かしたまちおこしは、日本中の小さな市町村にある『幸福の種』をどう広げていくか、という問題に通じる。映画を観た人に『いっぺん行ってみよう』と思われるような作品にしたい。地元のみなさんに応援頂ければ」。54歳。

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