宮城県でのある会合に出席した際、隣り合わせた人が雑談の中で福岡の高校出身と言い、「仙台での同窓会に100人集まった」と話した。「卒業生がそんなに各地にいるとは…。修猷館高校でしょう」と確かめると、「よく知っていますね」と、まんざらでない顔。▼「そりゃあ、九州きっての名門校ですもの」と持ち上げ、「ところで、修猷館から総理大臣は出ていますか」と尋ねたら、「ええ、1人だけいます。広田弘毅」。やはりさすがである。外交官出身の広田は日中戦争時に首相を務めた責任を問われ、A級戦犯として処刑されたが、裁判では沈黙を通し、その潔さが評価された。▼「私の母校も兵庫の田舎ながら、芦田均を出しているんです」。芦田も外交官出身で、短命内閣だった点で共通する。しかし、新憲法の制定に関わるなど、歴史上でははるかに重要な役割を果たした。▼無論、そこまでは言わなかったが、この1点においては柏原高校が九州きっての名門校に全くひけをとらないと知り、改めて誇りに思った。▼先日の柏原高校同窓会総会で来賓の谷口丹波市長が「芦田さんを心から尊敬している」と話した。兵庫県内唯一の首相輩出校であることを、近年は生徒はあまり知らず、先生も教えていないのではないか。「芦田均日記」全7巻を読む授業を試みては。(E)