ピアノ講師・音楽療法士 義積美由紀さん(丹波市春日町野上野)

2017.07.30
たんばのひと

音楽で「癒し」届ける

 高齢者や障がい者の支援施設などを訪問し、音楽療法士として音楽を通じた癒しの時間を届けている。音楽療法は、心身障がいの回復や高齢者の機能改善などに効果があるとされ、県と日本音楽療法学会が認定する資格をそれぞれ持っている。

 保育園児のとき、幼なじみがピアノ教室に通い始めたことで、自身も習い始めた。高校卒業後、丹波市春日町石才の関西音楽専門学院(現表現教育センター)の講師養成課程(一期生)で、子どもの音楽導入期指導について学んだ。「音楽だけでなく、料理や裁縫、体育の科目もありましたよ」とほほ笑む。同学院でのピアノ講師を経て27歳で独立した。

 高齢者施設を訪問した際、ある高齢者から「だんな様」という曲のリクエストがあり、歌った。涙を流して聞いていたが、その後も訪問のたびに歌うと、そっと「主人を思い出します」と言い、泣き顔が笑顔に変わったという。「歌によって思い出があふれ出し、涙を流すことで、いろんな思いが浄化されたのだと思う。歌の力を知らされました」と話す。

 重度の障がいがある15歳の少女との出会いも忘れられないという。どの楽器を演奏しても笑顔を見せなかったが、弦楽器「ライアー」を奏でたときに口角が上がり、すぐに笑った。「その子にとって、最も心地よい音を見つけ出すことができ、喜びでいっぱいでした」と振り返る。

 近く、地元・春日部地区で童謡唱歌を歌う会を発足させる。「音楽を通じ、子どもの情操教育を支援したい。さらに研鑽を積み、必要とされる場で役に立てれば」。53歳。

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