二村神社(篠山市味間奥)

2017.07.13
中井一統特集

写真・拝殿横の唐獅子

 文保寺に入って行く手前の鳥居を辿るとこの神社に行く。創建は歴史のある古市の見内の二村神社の座争いから、室町時代の文明14年(1482)に西吹の二村神社と共に分社化されたものである。境内には波多野秀治を祀る御霊神社他5社の摂社があり、特別保護建造物である。社殿は立派な拝殿と本殿からなっている。社殿の造作も誠に多彩なものである。
 向拝の兎の毛通しには、波の上を飛翔する大きく羽を広げた海鳥が見える。中央の実に狭い空間には宝珠を握った竜が居るが、迫力を欠くのはやむを得ない。その上部には阿吽の呼吸の牡丹と唐獅子だ。木鼻には定番の唐獅子と獏が居り、赤く塗った舌が印象的だ。手挟みには、驚くほど精緻な鳳凰と牡丹が目に入る。その外側には長寿を願う海亀の霊獣が居る。本殿背面上部の力神もいい。脇障子は、鹿と紅葉、花の下の犬という素朴なものだ。中井正貞文保寺同様の秀作である。
中井権次研究家 岸名 経夫

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