ささやまの森公園ボランティア 杉田弘治さん(篠山市川原)

2017.09.03
たんばのひと

人と森から元気もらう

 開園から15年を迎えた兵庫県立ささやまの森公園(篠山市川原)で、開園当初からボランティアとしてかかわり、来園者に里山の暮らしの一端を体感できる多彩なプログラムを提供している。

 公園所在地の住民でもあることから、開園の半年ほど前から「公園の目玉的設備になれば」と、多くの村の仲間と共に炭焼き窯づくりに着手。その際、「杭を打つ手がひどくしびれる」と体に違和感を覚えた。骨にも転移がみられる末期の前立腺がんだった。まだ65歳。医者にも見放された。落ち込み、しばらく家に閉じこもった。

 2002年7月、公園が開園。気分転換になればと、半ば開き直りの心境で公園の活動に参加。農家であり元大工でもあったことから、農林業系のプログラム実施の際には、公園事務局やほかのボランティアからアドバイスを求められ、講師としてプログラムを進める立場となった。「もともと人との交流が好き。なにより人に頼られるというのはうれしいこと」と、がんを抱えながらも懸命に活動に励んだ。「あまりに公園へ足繁く通うものだから、近所からは『公園の職員をしているのか』と尋ねられるほどだった」と笑う。

 1年半後の再検査で、がんがほとんど消えていた。「医者も奇跡だと」。4年後には投薬治療もやめた。「終活も済ませていたのに。人と森から元気をもらい助けられた」とほほ笑む。

 「1、2時間掛けて公園にやって来る都市部のボランティアの情熱には頭が下がる。公園や地域を盛り上げていただいていることに感謝。そんな仲間と一緒に、これからも体が動く限り森に通いたい」。80歳。

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