イベントで郷土愛育む
ここ数年で丹波市内の有志が企画したイベントの多くに携わっている。100人で登山をしたり、100人でギターを奏でた催しでは、それぞれ実行委員長を務めた。若者を中心に運営を進め、幅広い世代の人が楽しめる企画を考えている。
青垣町出身で、市内の企業に就職。ずっと地元にいながらも、20歳代のころまで故郷に愛着はなく、遊びに行くのはもっぱら神戸や大阪だった。都市部の人から出身を問われても、「説明してもわかってもらえないだろうから、氷上郡から来たと言えなかった」と話す。
そんな思いが変わったのは、丹波市にIターンした人と出会ったこと。丹波の良さを熱く語る姿に驚いたという。「ほとんど地元のことを知らない自分に気づいた」と振り返る。
人口減少問題が取りざたされていることに加え、母校を含む青垣4小学校の統合による各校閉校も控えていた時期、このままでは故郷がさびれてしまう不安を感じたという。さらに、2014年8月には、未曽有の豪雨災害が丹波市を襲った。消防団活動で被災地入りすると、多くのボランティアが丹波市のために汗を流す姿に心打たれたという。
災害からしばらくして、初めて黒井城跡に登った。眼下には見事な雲海が広がっており、「地元には、こんな素晴らしい場所があることに感動した。地元は面白いと思えるきっかけになった」と語る。
イベントを運営するとき、必ず地元の若者を誘うという。「進学や就職で、都市部に出ても良いと思う。ただ、イベント運営を通じ、若い子が地元の魅力を知り、帰郷が選択肢の一つになればうれしい」。37歳。