日テレ系の「24時間テレビ」でタレントのイモトアヤコが、左足が膝下から義足でパラリンピック出場を目指す江口舞さんと一緒に槍ヶ岳(3180メートル)に登頂した様子を映した。筆者は観られなかったが、友人から「穂先の絶壁に近いような所を、義足とは思えないくらい器用に登っていた」と聞いて驚いた。
筆者も1日後に同山に行っていて、イモトらが発った後の山小屋に泊まったが、高さ180メートルのあの穂先を梯子やチェーンをつたって登り降りするのは、健常者でも命が縮んだ。
穂先の直下にある、標高3000メートルの山小屋までの道も相当にきつい。83歳のベテラン、Aさんについていったのだが、だいぶゆっくりした歩きで、後から来る人達に次々に抜かれながら、1日目は上高地から途中のロッジまで6時間。翌日は6キロ、標高差1000メートル、平均6分の1の勾配で、8時間かけてようやくたどりついた。
しかし登山者は60、70歳代らしき人がおよそ3割いて、高齢の女性も多い。若者ばかりのグループが意外に少なかった中で、小学1年の男児が1人、祖父母と来たという5年の女児が1人いたのは頼もしかった。
登山に限らず、元気老人達が日本経済に活力を与えているのかも知れない。世界最高の福祉水準に支えられてのことではあるが。(E)