米作りと仲間づくり
今春、父から丹波ひかみ米の生産、卸、小売り販売などを手がける有限会社を事業継承し、2代目の社長に就任。今年度から県稲作経営者会議の会長を務める。アンテナを高く、国の農業施策の動向や全国の意欲ある生産者の取り組みに関心を払いながら、地元で「人つくれ!土つくれ!米つくれ!」の社訓を胸に、米づくりに打ち込んでいる。
大学卒業後、銀行員を経て24歳で青垣町役場に入職。役場で順調にキャリアを重ねていたが、還暦を過ぎてから意欲的に規模拡大を続ける父の仕事に魅力を感じると共に、両親の肉体労働の大変さを年々感じるようになり、丹波市合併直前の04年に退職、専業農家に転じた。「農業は頭を使う。役場での12年間がとても役立っている」。
「丹波ひかみ米」の名声を高めることと、仲間づくりに積極的に取り組んできた。食べ比べ審査でおいしい米を決める「あなたが選ぶ日本一おいしい米コンテスト」(山形県庄内町)で最高賞を獲得、若手農業者の会「大空の会」初代会長を務めた。
経営面積20㌶のうち15㌶が米。青垣、市島に約60人いるグループの生産者と合わせ年間30㌔袋で1万袋を取り扱う。年商は1億円。「両親は2人で1億円売り上げていた。米価の下落で2倍米を集め、2倍売らないといけない時代。うちの米が売れるのは、丹波ブランドがあるから」。「丹波ブランド」への思い入れは強い。ブランド価値を高めるには、全体の底上げ、地域の農業者全体の盛り上がりが必要と考えている。
「社長、会長になってもやる事は変わらない。会社や会が育ててくれると考え、張り切り過ぎないようがんばりたい」。50歳。