今では幻の「ウナギ」を追え! 小学生の調査研究に「科学賞」

2018.10.22
ニュース丹波篠山市

篠山ロータリー科学賞で最優秀に選ばれた松村君=2018年10月13日午後1時27分、兵庫県篠山市二階町で

 兵庫県篠山市内の小学生の自由研究を表彰する初めての企画「篠山ロータリー科学賞」の授賞式が13日、篠山商工会館で開かれ、同市を流れる篠山川にウナギが生息しているかを調査した篠山小学校5年の松村湊平君(10)に最優秀賞が贈られた。結果的にウナギは見つからなかったが、地域住民にインタビューをしたり、捕らえられない原因を探るなど、大人顔負けの調査を展開。松村君は、「いろんな世代の人に話が聞けてよかった。これからもウナギを追いたい」と目を輝かせた。

 研究のタイトルは、「まぼろしのウナギを追え! 篠山伝説オレが見つけてやるぜ!」で、大きな画用紙25枚にわたる大作となった。

もともと動物が大好きな松村君。祖父から、「昔は篠山川にウナギがいた」という話を聞き、ウナギのかば焼きが好物ということもあって研究心に火が着いた。

祖父をはじめ、地域住民にインタビューし、30―40年前には篠山川にウナギが生息していた事実をつかんだうえで、何度も川に仕掛けをしたものの、ウナギは捕まえられなかった。

原因を市役所に尋ね、この30―40年で篠山川でダムが完成したことや、工場から薬品が川に流出した「フェノール事故」があったことも調査した。

その後、「水をきれいにする会」という団体が武庫川水系で稚魚を放流していることにたどり着き、メンバーに電話インタビューを敢行した。

まとめでは、自身は捕まえられなかったものの、武庫川で稚魚が放流されていることや、武庫川水系から篠山へのルートがあること、中学生の友人が釣ったことがあることから、生息の可能性は「0」ではないと結論。また、昔のようにウナギが獲れるようにするためには、川やダムをさかのぼれるように、「魚道を造ったらよいのでは」と提言した。

また、篠山市が生きものが生息しやすい水路を広めていることにもふれながら、「カム・バック・ウナギ。カム・バック・なつかしい篠山」「生きものがいっぱいのきれいな篠山川を守っていきたい」と呼び掛けた。

科学賞は篠山ロータリークラブ(藤井恵一会長)が主催。篠山小学校でかつて自由研究を表彰していた「森本賞」を参考に、子どもたちが楽しみながら、自由研究ができるようにと開催した。

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