日中平和友好条約の発効から23日で満40年。当時、鄧小平が来日し、新幹線で関西入りして奈良の大仏殿に案内された。柱の下の小さな四角い穴の前で「これを潜り抜けたら願い事が叶いますよ」との説明を面白そうに聞いていたのを、同行していた筆者はよく覚えている。
鄧氏は新幹線の感想を「追いかけられて走っているみたいだ」と話した。「改革開放」を急がなければどんどん取り残されると痛感したのだろう。彼の時代の中国は日本人からも、「頑張っているな」と概ね好意的に受け止められていたが、その後、江沢民主席の頃から国力を付けるにつれてトラブルも起き、日中間には波風が立ち始めた。
ここ10数年の間に顕著なのは、両国の観光客数の対照的な変化だ。中国の対日感情が悪化し、在中の日本店が襲われたりして以来、同国への日本人観光客は激減。その反面、ビザの発給要件緩和などで日本への中国人観光客は急増している。
筆者はほぼ毎年訪中しているが、どこの観光地でも日本人を見かけることが本当に少ない。しかし、一般の人達は結構友好的で親切。不愉快な思いをさせられたことは、まずない。日本人がもっと行けばいいのにと思う。
政府間の関係はこのところ修復されつつあるが、旅行客数の不均衡についても対策を考えてほしい。(E)