次世代に里山文化伝える
阪神間や丹波市の自然愛好家らと立ち上げたNPO法人「森の都研究所」で代表を務める。同市の動植物の調査や、高齢者から里山文化についての聞き取りを行い、それらを若い世代に還元する活動に取り組んでいる。子ども向けには体験型の出前授業を開くなど、豊かな自然に関心を持ってもらうために力を注ぐ。
大阪府出身。小学5年生のとき、比較的、自然が残っていた郊外に引っ越した。自身は自然遊びが好きだったが、世の子どもたちはファミコンブームの真っただ中。「同級生から『クワガタムシ採集は3年生のときに卒業した』と言われてさみしかったですね」と笑う。
大学で植物生態学、大学院では動物行動学を学んだ。卒業後は、環境影響評価の仕事に従事。高速道路などがつくられる際、動植物への影響を調べる業務で、関西を中心に飛び回った。
豊かな自然や農、長年培われた文化がある地域で暮らすことに憧れがあったという。10年ほど前に住まいを移した丹波の地は「空気感」にひかれたと言い、「小中学生のころに遊んでいた山に近いものがあった。暮らし始めてからも、地域住民の気質が心地よい」と話す。
丹波の自然について「おもしろくて仕方ない」と笑顔。一方で、荒れた里山の多さも感じている。燃料革命や土地の質を選ばない植林、獣害など、自然のバランスが崩れているという。「今の状況が20年続けば、今かろうじて生き残っている動植物も子孫を残せないかもしれない」と危惧する。
夢は山菜などが多くとれる「おいしい里山をつくること」という。「地域の人と楽しみながら、山の手入れができれば」。43歳。