「戦国武将の風景」アプリに 光秀破った「赤鬼」の城下町 古地図をスマホに街歩き


江戸時代の古地図を使った、まち歩きのできるアプリ

 天正年間、織田信長の命を受けて丹波国を攻めた明智光秀を破った戦国武将・赤井(荻野)悪右衛門直正が生きた当時の城下の古地図アプリが完成した。直正は現在の兵庫県丹波市春日町にある黒井城を拠点とした武将。アプリでは、スマホなどに古地図を表示し、現在の風景や街並みと対比しながらまち歩きを楽しんでもらおうというもので、4月に一般公開し、誘客につなげる。

古戦場や町割り表示、説明文や観光情報も

 丹波市が市創生シティプロモーション推進事業の一つとして制作を進めた「古地図アプリコンテンツ構築事業」。2020年のNHK大河ドラマで明智光秀が主人公の「麒麟がくる」が放映されるのを受け、地域を活気づけようと企画した。

 京都府内に住む直正の末裔が所有する江戸時代初期の地図の使用許可を得た。黒井に残る、直正が光秀と戦った古戦場などの跡や町割りなどを古地図に重ねた。これを関西大学総合情報学部の大学院生がスマートフォンやタブレットで使えるアプリにした。アプリの地図上に表示された、直正にゆかりがある同町内の「興禅寺」「兵主(ひょうず)神社」などのランドマークをクリックすると、簡単な説明文や写真など観光情報が表示される。

アプリ開発に向けたまち歩きをするガイドクラブのメンバーら=兵庫県丹波市春日町黒井で

「長州」の取り組み参考に

 「市外からの観光客を呼び込むきっかけにしたい。市民がまち歩きのツールに活用することで、知らない歴史や歴史上のエピソードなどを知って、価値を再認識し、地域への愛着や誇りを高めたい」と同市シティプロモーション推進室はねらう。

 地元の観光案内ガイドクラブの瀬尾せつ子会長は、「若い人にまち歩きが面白いと思ってもらえるようになると観光客の増加につながる」と期待を込め、「音声が流れれば障がいのある人にも役立つ」と提案する。市の担当者の荒木裕介さんは、「黒井のアプリ開発をモデルに、他地域にも広がったらうれしい」と言い、地元に住む郷土史研究家の村上正樹さんは「『アプリを使って古地図を歩こう』で旅行商品として売り込める。大河ドラマの気運の盛り上がりにもつながり、住民参加型のイベントもできそう」と期待している。

 瀬尾会長や市の担当者は、明治維新を中心に古地図アプリを使ったまち歩き事業を展開する山口県下関市長府、山口市で研修し地元ガイドの案内を受けた。山口県観光連盟によると、両市を含む県内5地域で年間平均6500人が古地図を使ったまち歩き観光を体験している。加西市や京都市などでも同様の取り組みが行われている。

 関大大学院生の男性は「観光に来る人がどんな情報を求めているのか、ガイドにとっては、どういう情報が必要なのか。両方の目線で開発に当たった。使いやすさを工夫した」と話していた。