「丹波の赤鬼」姫まつる寺で人形供養 光秀軍の追手で落命の悲話

2019.03.11
ニュース丹波市明智光秀と丹波地域

供えられた人形を供養する豊田住職=2019年3月3日午前10時20分、兵庫県丹波市春日町多田で

兵庫県丹波市春日町多田の圓光寺(豊田義孝住職)で3月3日、人形供養が行われ、市内外から寄せられた人形などを供養した。戦国悲話にちなむ行事。

境内には「タラヨウ」、生まれ代わりの木

 同寺の言い伝えによると、戦国時代の440年前、「丹波の赤鬼」の異名を持つ武将・赤井(荻野)悪右衛門直正の居城だった黒井城が明智光秀の来襲で落城した際、同寺まで落ちのびた2人の姫が追いかけてきた光秀の軍勢の手にかかり、命を落としたという。

 同寺住職だった鉄山禅師は病に伏せていたので、助け出せなかったのを悔やみ、2人の遺体を葬り、お経を唱えているとある朝、住職の前に2人の姫が現れてお経の礼を言い、「多田村(同町)の平和と繁栄を祈る」という言葉を言い残し、木の陰に隠れたという。この話を聞いた村人たちが、力を合わせ、小さな祠を建て、淡島大明神として姫たちをまつったという。

同神社そばのタラヨウの木は姫たちの生まれ代わりとされ、安産や合格祈願などにご利益があるとされる。

子の成長や家内安全などに御利益

 人形供養では、人形を前に豊田住職が読経し、人形をお供えした人の名前や、子どもの成長、家内安全などの願い事を読み上げた。人形のほかに千羽鶴も供えられた。

 参列した同市内の女性は「子どもも成長したので、結婚式のお祝いにいただいたぬいぐるみをお供えし、家族の健康をお願いしました」と話した。参列者の中には、「子どもが交通事故にあったが、大勢の人に千羽鶴を届けていただき、励ましを受けたおかげで元気になった」と話す人もいた。

境内にある稲荷神社で同神社奉賛会による初午祭もあり、うどんがふるまわれた。祭りの世話をする同寺総代代表は「どこの家でも人形の処理に困っておられるということを聞き、供養を思いついた。供養のあと、気持ちがすっとしたという声をお聞きします」と話していた。

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