「法話」でグランプリに
神戸市須磨区の須磨寺でこのほど開催され、宗派を超えて若手僧侶が法話を披露し、「また会いたくなるお坊さん」のグランプリを決める「H1法話グランプリ」で頂点に。「素直にうれしかった。いろんな宗派の人たちと力を合わせて一つのものをつくり上げたことも大きな収穫でした」とほほ笑む。
法話では、骨粗鬆症で、カルシウムを摂っている高齢の女性が、「今から飲んでも効いてくるのは骨上げの時や」と言っていたという小噺で笑いを取ってからスタート。寺の隣で暮らす96歳の女性から鈴虫をもらって育て、産卵して増えた鈴虫を今度は近くの小学生が夏休みの自由研究の題材にしてくれたというエピソードを紹介した。
産卵期の雌が雄を食べることから、「どこの世界も女性が強い」と笑いを誘ったほか、小学生が研究の結びに、「鈴虫はこうやって命をつないでいる」と書いていたことから、「大切な人、身近な人がなくなった時に、命のはかなさを感じるが、何気ない生活の中で命の大切さを感じることが大事」と呼び掛けた。
駒沢大学の落研出身、また、一時期、漫才師として活動したこともある経歴から、軽妙な語り口で場を沸かせた。
審査委員からは、「つかみ、間の取り方、話の組み立て方など、どれもすばらしかった」と評価を受けた。大会翌日には96歳の女性に受賞を報告し、大いに喜ばれたという。
「まだまだ勉強不足。今回、頂いたたくさんのご縁を大切にし、今後に生かしたい」と言い、「グランプリは来年もある。裏方などでもかかわらせてもらい、他宗派の人と交流したいです」と話す。44歳。