サークル活動から新規就農者に 大坂宇津実さん(丹波篠山市黒田)

2019.07.07
たんばのひと

大坂宇津実さん

農業の価値を伝えたい

神戸大学の授業「実践農学入門」がきっかけで丹波篠山市の西紀南地区とつながり、2017年に就農。昨年5月から「どろんこやさい」の屋号で、黒大豆、小豆、トマトなど8種類ほど、約2ヘクタールを栽培。神戸市内の飲食店と提携するなどしている。

現在、200人近くが所属する同大学の学生サークル「にしき恋」の立ち上げメンバーの一人で、2回生の時に同期10人ほどで結成。ほぼ毎週末、同地区の農家宅に通った。草刈り機をどう扱えば、きれいに効率よく刈れるかを考えるのも楽しかったし、作業後の食事がとにかくおいしかった。ただ、農家が、自身の作物が誰のもとに届いているかが分からない流通の仕組みが残念に感じた。

他の農業も見てみたい―。3回生になり、ドイツのワイナリーで1カ月間、住み込みで働いた。ブドウ栽培からラベルのデザイン、ワインの出荷、自社レストラン経営まで、オーナーがその全てに関わっていた。「いろんな分野の仕事とつながり、価値を生み出せる農業」に面白みを感じた。

現在は、野菜ジュースやスープなどの加工品を手掛ける会社にも関わり、農家自身で農作物の“出口”を作ろうと奔走。将来は規模を拡大して大阪、東京へと販路を広げよう、法人化し、就農者を募ろう―と構想を練る。

全国の大学の農業系サークルのOB、OGでつくるネットワークは3000人を超えるが、就農した人はほんの一握り。「仕事としては成り立たないというイメージなのでは。若い人に農業の価値を伝えたい。だからこそ、自分自身が若いうちに経営を成り立たせている姿を見せないと」と力を込めた。大阪市出身。25歳。

関連記事