西日本最大級の民謡と踊りの祭典で、兵庫県丹波篠山市のお盆の風物詩「丹波篠山デカンショ祭」が16日、同市北新町の国史跡・篠山城跡三の丸広場周辺で開かれた。台風10号の影響で初日の15日が中止となり、16日も午前中のプログラムを中止して夕方からの開催となったものの、詰めかけた多くの人々が巨大な木製やぐらを囲み、「ヨーオイ、ヨォーイ、デッカンショォ!」と声を張り上げながら踊りの輪を作っていた。
祭典では丹波篠山デカンショ節保存会によるデカンショ踊り講習会で幕開け。メーン会場の三の丸広場にそびえる高さ約8・7メートルの木造やぐらを囲んで、総踊りや丹波篠山太鼓「鼓篠組」の演奏会があったほか、同祭の花形プログラム「ジュニア競演会」には6団体が出場し、子どもたちが熱のこもった踊りを披露した。
祭を締めくくる打ち上げ花火は1000発が打ち上げられ、飛び込みの参加者も含んだ総踊りで威勢のよい掛け声が響く会場の夜空を華やかに彩った。
同市が「日本遺産」に認定されるきっかけにもなった「デカンショ節」。明治31年、丹波篠山から遊学に出ていた青年たちが、千葉県館山市の宿屋で東京一高の学生たちと出会い、郷土の民謡を披露。学生らが気に入り、東京に戻ってからも歌い続けたことから、全国的に広まったというエピソードもある。
「デカンショ」という言葉には諸説あり、はやし言葉で意味がないという説や、「ドッコイショ」がなまったもの、さらには、「デカルト・カント・ショーペンハウエル」という3人の哲学者の名前を略したものという説まである。