兵庫県丹波市で8月31日、「脱傍観者―君はあの子のレスキュー隊」をテーマにした、同市いじめ・暴力ゼロ市民運動(同市教育委員会など主催)が開かれた。市内小中高生保護者のパネルディスカッションや専門家の講演で理解を深め、なくしていくために自分たちにできることを考えた。市内全小中学校の児童、生徒の代表者が2―3人ずつ参加した。
市教委が中学生を対象に今年度導入した、スマートフォンやパソコンでいじめを受けている当事者が相談、目撃者が通報できるアプリ「ストップイット」の運営会社CEOの谷山大三郎さんは講演で、自身が小学校5年生の時からいじめを受けたが、親には申し訳ないような思いがあり、相談ができなかったことを紹介。「本人が相談できなくても、気づいた誰かが言えば助けられるのでは。ちゅうちょなく助けられるようにしたい」と、同アプリなどいじめをなくす活動にかける思いを語った。
パネルディスカッションでは、成長するほど自分の立場を考え、関わって自分がいじめられたらという不安から見過ごす、「いじめ」と「いじり」の境界が分からず傍観者になるなどと、傍観者になる理由を考えた。「傍観者が生まれにくい環境づくり」では、感謝の言葉をかけ合うなど良い雰囲気を作り、いじめが起きにくくするなどとアイデアを出し合った。教師は「先生に通報したことがバレたらと怖がる生徒がいるが、『チクリ』は正義。たくさんチクって。あなたがいじめのターゲットにされたら、それもチクって。先生はあなたを守る」と児童生徒を勇気づけた。
実行委員長を務めた市内中学校3年の女子生徒は、「きょう学んだことをこれからにつなげる。行動し、笑顔あふれる丹波市になるようがんばっていこう」と締めくくった。