地域限定の「電子マネー」開始へ アプリ+カードで高齢者も便利 「”馴染みの店”でのポイント還元に」

2019.09.13
ニュース丹波市地域

「たんばコイン」の決済アプリ「chiika」の画面

兵庫県丹波市の「たんば商業協同組合」は10月1日から、QRコード決済する同市域限定流通の電子マネー「たんばコイン」の取り扱いを始め、国が進める「キャッシュレス消費者還元事業」に参加する。地域限定の電子マネーは県内初。スマートフォン(スマホ)での決済にハードルがある高齢者のために、QRコードを印字したカードも発行する。キャッシュレス決済の方法が”乱立”する中、地域密着型で、地域経済の循環をめざす。

 

「たんばコイン」のQR付き決済カード

同組合は、同市で流通する紙ベースの商品券「たんば共通商品券」を発行している。

市内に300の組合員がおり、13日時点で105店が「還元事業」に登録済み。10月1日に向け、さらに増える見通しだ。組合員で還元事業に参加している店舗で「たんばコイン」を利用して買い物をすると、2%か5%の即時ポイント還元が受けられる。

還元事業が始まることから、「この流れに乗らないと、組合員の顧客離れにつながりかねない。消費者にも馴染みの店でポイント還元を受けられるメリットは大きいはず」と、同組合の畑道雄理事長が音頭を取り、3か月ほどで準備した。

同市で発見された恐竜化石「丹波竜」をモチーフにしたご当地キャラ「ちーたん」を電子マネーの単位とし、「1ちーたん」が「1円」になる。

たんばコインの導入に音頭を取った畑理事長

決済用アプリは、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の運営会社「トラストバンク」(東京都)の協力で、同社が開発したシステムを無償で利用する。

ただ、同市は人口約6万5000人に占める65歳以上高齢者の割合が33・7%(8月末)と県平均より高い中山間地域。スマホを使いこなせない層への配慮が不可欠と、「QR付き決済カード」を用意した。

アプリもカードも事前に現金を入金して利用するが、組合員の中に入金を扱う店を設け、入金も使用も消費者の近い所でできるよう工夫した。

畑理事長は、「たんばコインの導入で、大手決済事業者に加盟するのは、手続き等でハードルが高く二の足を踏んでいた地元の商店が、時流から遠ざかるのを回避できる」と言い、「消費者にとっても一番敷居が低く、使いやすい方法を考えた。増税による地域経済の疲弊を少しでも軽減し、お金を回し合うことの役に立てば」と話している。

トラストバンクの飯田敦取締役は、「『ICTを通じて地域とシニアを元気にする』を実現するため、地域内経済循環を促すことを目指している。組合が『商品券』など、地域内の経済循環を積極的に展開していた実績と思想が合致した。先進的な取り組みをされている組合とご一緒でき、大変、光栄」とコメントした。

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