兵庫県丹波篠山市佐倉在住のフルート奏者、三原萌さん(28)がこのほど、「兵庫芸術文化センター管弦楽団」(通称・PAC)に入団し、プロの音楽家としてデビューした。小学生からフルートを始め、クラシックの本場、欧州への留学も経て、ついに念願を達成。世界的指揮者の佐渡裕さんが指揮することでも知られる一流オーケストラへの入団に、「お世話になった兵庫に音楽で恩返しがしたい」と言い、「楽譜を忠実に表現し、聞いてくださる人との一体感を大切にした演奏ができれば」とほほ笑んでいる。
三原さんは、趣味でフルートを楽しんでいた母、香奈子さん(57)の影響で小学6年生のころからフルートを始めた。篠山中学校では吹奏楽部に所属する傍ら、木下楽器(立町)の教室に通い、コンクールにも出場するように。篠山鳳鳴高校3年の時には、「全日本学生音楽コンクール」の大阪大会で1位、全国でも3位という成績を残した。
その後、東京音楽大学に進学。卒業後、オーストリアの名門・ウィーン国立音楽大学に進み、”音楽の都”でさらに技術を磨いた末、同大学を最優秀の成績で卒業した。
在学中には日本人の音楽仲間とともに、著名な作曲家の名を冠した「フリードリヒ・クーラウ国際フルートコンクール」で1位を獲得するなど、新進気鋭の音楽家として活躍した。
欧州での活動を振り返り、「毎日、どこかで演奏会があって、近くに音楽があった。とても幸せな時間でした」とほほ笑む。
今年に入ってPACのオーディションを受け、見事に合格。数あるオーケストラの中から、PACを選んだのは、「阪神・淡路大震災を機に、音楽を通した復興のために結成され、地域に根差した活動をされているから」と言い、念願のプロデビューには、「音楽は私にとってなくてはならないもの。コンスタントに自分の演奏を聴いてもらえる」と喜ぶ。
PACに在籍できるのは3年間という決まりがあり、「今後へのステップアップにつなげたい」とさらなる高みを目指す。
これまでの演奏生活の中で一番うれしかったことは、演奏を聞いた人から、「悩んでいたけれど、心が軽くなった」と言われたこと。「そんなふうに思ってもらえる演奏を続けていきたい」と話す。
郷里での生活は10年ぶり。「緑が多くて、ウィーンと似ているところもある。やっぱり地元は落ち着きますね」と笑った。