増税機に黒枝豆も値上げ まつり会場、100円アップの1000円に 資材費高騰、人件費上昇で

2019.10.08
ニュース丹波篠山市地域

今月5日に販売が解禁された黒枝豆=兵庫県丹波篠山市東吹で

全国ブランドとして知られる兵庫県丹波篠山市特産の「黒枝豆」。同市北新町の篠山城跡三の丸広場で12―14日に開かれる「丹波篠山味まつり」の会場で販売する黒枝豆1束(1キロ)の価格について、同市農業生産組合協議会(利根茂樹会長)は、前年比100円アップの「1000円」と決めた。さや豆(500グラム)も同100円アップの800円。近年の資材費の高騰、葉取りや枝の結束作業で人を雇う場合の最低賃金の上昇などが主な理由で、10月の消費増税をタイミングと捉えた。値上げは3年ぶり。

同協議会が決めた価格をイベント会場内での最低価格とする。丹波篠山の秋の味覚をPRするイベントの先頭を切る「丹波篠山味まつり」での価格を、その後の「丹波たんなん味覚まつり」(19、20日)、「城東味まつり」(同)をはじめ、各地域で開かれる各種イベントなどがならうのが慣例。このため、味まつりが近づくと、まつりの実行委や同協議会の事務局(市)に問い合わせが入り始めるという。

同協議会には出荷組織の代表と役員らが出席。事前に役員と事務局で固めた100円値上げの方針を提案し、出荷者組織の代表らの意見を聞きながら決定した。

「味まつり」の実行委員会では、「ブランド力を高めるためにも1000―1200円で」といった声があったことも加味。意見を重ねた結果、「100円値上げが妥当」でまとまった。

近年では消費税が5%から8%に上がった2014年に1束800円から850円に、16年には同イベント会場と、商店などとの販売価格に差が開き始めたため、850円から900円に値上げしている。

黒枝豆は、1988年の博覧会「ホロンピア88」に出品されたのがきっかけで広まった。当時は知名度も低く、より多くの人に味わってもらおうと安価で設定されてきた経緯がある。一方で、葉取りや結束などの手間がかかり、生産者の労力とイベント会場での価格が釣り合わないことが度々、関係者の間で話題になってきた。近年では生産者の高齢化に伴い、生産量も減少している。

利根会長は、「昨年は台風による不作で協議できなかった。値上げはするが、それに見合う品質の維持を徹底するよう呼びかけた。観光客は黒枝豆を目当てに来場される。値上げしても、これまで通りに買っていただけるものと期待している」と話している。

関連記事