師走の河川敷に謎の「地上絵」? 盛り上がった土が線状に 正体はあの生き物の仕業

2019.12.31
ニュース丹波市地域自然

河川敷に現れた複雑な模様。正体は=2019年12月28日午前11時52分、兵庫県丹波市氷上町西中で

師走も終盤を迎えるなか、兵庫県丹波市氷上町西中の加古川河川敷にまるで「ナスカの地上絵」の“ようなもの”が出現しているのを発見した。きれいに刈り込まれた芝生の上に、盛り上がった土が線状に走り、複雑な模様を描かれている。これはいったい…。
取材に向かう途中に偶然発見した謎の現象。羽を広げた鳥のようにも見えなくもないが、よくわからない。何かのメッセージなのか。
ナスカの地上絵は地表にある暗赤褐色の岩石を取り除き、深層の明るい色の岩石を露出させることで描かれているが、この河川敷では芝生が内側から盛り上げられ、黒い土が顔をのぞかせている。
「これはコウベモグラの仕業ですね」
研究者によると、えさを探したりするために掘ったトンネルの軌跡が地表面に現れているのだという。
農文協発行の「現代農業」(2018年5月号)によると、モグラは大きな前あしと後ろあしで70―300メートルの穴を掘って単独生活を送る。
目はほとんど見えないが嗅覚は鋭い。地中に掘ったトンネルは縄張りであり、えさ場でもある。トンネル内を巡回しながら、そこに落ちてくるミミズや甲虫類の幼虫などを採食する。
研究者は、「本来、地中のもう少し深いところにトンネルを掘ると思うが、比較的浅い位置に固い地盤があったのか、通常より地表に近いところを掘り進んだことで、このような模様が現れることになったのです」と話す。
河川敷に現れた”地上絵”は、寒さに負けじと活動する小さな野生動物が存在する”証し”だった。と言えば聞こえは良いが、農家にとっては大敵でもある。

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