工事業者に入札情報を漏らしたとして、官製談合防止法違反などで兵庫県丹波市水道部工務課の男性主査(40)が逮捕されたことを受け、同市は29日午前8時半から開かれた緊急の議員総会で市議会議員に事件の概要を報告し、度重なる職員の不祥事を陳謝した。
この中で市は、水道工事をめぐる自身の事務遅延の発覚を逃れるため、主査が虚偽有印公文書作成と同行使を行ったと発表した昨年11月、報道で不祥事を知った丹波警察署から内容について説明を求められたことを明らかにした。
その後、1月20日に県警本部捜査二課から連絡があり、不祥事とは別の件で二課が捜査していることを初めて知り、任意で書類を提出したことなど、これまでの流れを説明した。
主査は、不正事務発覚後の市の聞き取りで、5件で不正事務を働いたことを認めたが、市の聴取に「他の不正はない」と答えていた。主査が行った不正事務5件の中の1件は、入札情報を漏らした相手(競売入札妨害の疑いで役員を逮捕)の関係会社がJVで関わった「市道下滝南線老朽化更新工事」の水道管工事が含まれている。
議員総会では、特別交付税の陳情のため上京し、議員総会を欠席した谷口進一市長に代わり、鬼頭哲也副市長が議員に陳謝した。
議員は、「不祥事で主査を処分した時点で、情報漏洩を見つけられなかったのか」「最低制限価格と同額で落札された事を不審に思わなかったのか」「適切な再発防止策が講じられているのか」などと当局をただした。
中野譲技監は「業者の積算能力が高まっており、最低制限価格と同額になることはある。不審とは思わなかった」と言い、鬼頭副市長は「組織としての風土を変えていなかくてはいけないと考えている。また、入札制度そのものも、最低制限価格を変動制にすることなどを考えていかねばならない」と答えた。