後に続く人に恩送りを
田舎暮らしを希望していた夫に寄り添う形で、2016年1月に尼崎市から丹波市へ移住した。翌年4月から、市の移住相談窓口「たんば“移充”テラス『Turn Wave』」の相談員となり、子育て中の生活者の立場でアドバイスをしている。
心掛けているのは、「悪いことや不便なことも正直に伝える」こと。「人口を1人増やすためなら言わなくていいことかもしれないが、後で『こーへんかったらよかった』と思ってもらいたくないので、何でも隠さず話します」
3歳の娘と参加している親子保育の活動に大きな影響を受けた。梅干しや味噌づくりを教わり、都会にいた時は考えもしなかった季節の手仕事が恒例になった。野草は天ぷらやお茶にできることも知り、「春になると道端の草がおいしそうに見えてくる。そんな感覚が楽しくて」と笑う。
移住前は、病院の医療ソーシャルワーカーをしていた。夜遅くまで忙しく働き、充実していながらも、常に無理をしているような感覚があったという。
丹波での生活は、都会よりも時間がゆっくり流れているように思えるそうだ。子どもを連れていると、話しかけられることも多い。「周りの人からの何気ない声かけがありがたい。穏やかな気持ちで子育てできるのも、独りにならない田舎の環境のおかげかなとつくづく思う」
現在、春日町に自宅を建設中。「たくさんの人との出会いに心を動かされて丹波へ来た。がんばりすぎず、楽しみながら生活し、後に続く人たちに恩送りしていきたい」と先を見つめる。神戸市出身、33歳。