幼稚園の入園ゼロ見込み 100年の歴史で初めて 要因は「預かり保育」

2020.03.02
ニュース丹波篠山市

新年度4歳児の入園がゼロの見込みとなっている篠山幼稚園=2020年2月14日午後1時41分、兵庫県丹波篠山市北新町で

もうすぐ新学期―。幼稚園や保育園、認定こども園でも入園説明会が開かれ、各家庭では入園準備が進んでいるが、兵庫県丹波篠山市立篠山幼稚園の新年度の4歳児の入園児が「ゼロ」の見込みとなっている。同園によると、100年の歴史の中で入園児がなかったことはなく、市内でも初めてとみられる。全国的に「待機児童」が問題になっているが、市役所にも近く、中心市街地にある同園への入園がない要因は、現状、夕方まで園児を預かる「預かり保育」がないことみられる。

 大正9年(1920)4月に開園した同園。かつては100人を超える園児数だった時代もあったが、近年、共働きや核家族化などで園児数は年々減少。これまで最も入園生が少なかったのは、2016年度の1人だった。
 同園は今年も入園説明会を予定していたが、申し込みがなかったため、中止にした。
 今年度の園児数は年少が3人、年長が7人の計10人。今後も入園申し込みがない場合、4月以降、新年長の3人のみとなる。
 市教育委員会こども未来課によると、昨年9月1日時点で、篠山幼稚園区の3歳児は16人という。
 一時は2人が入園を検討していたが、1人が取りやめたことに伴い、最終的には1人が残った。この1人も上級生が卒園し、下級生が入園してこなかった場合、園で1人だけとなってしまう可能性が出てきたことから、集団生活ができないことを懸念して、近隣の私立認定こども園への入園に切り替えた。
 同園のほか、近隣にある公立のたまみず、岡野の両幼稚園は園区内に私立の認定こども園2園があるため、現在、預かり保育は実施されていない。幼稚園3園の園児数は減少の一途をたどっており、2こども園は定員に達しており、待機児童も発生している。
 昨年、3園の園児数が減少していることから、幼稚園の保護者らが、「預かりがあれば、幼稚園の園児数も確保できる」と訴えたことを機に、市教育委員会は3園での預かり保育を篠山幼稚園に開設する方針を固め、新年度当初予算案に準備費用を盛り込んでいる。議会が予算を可決すれば2021年4月から預かり保育がスタートする。
 幼稚園入園を取りやめた1人の父親(33)は、「(21年度から)預かりが始まった段階で、幼稚園に切り替える家庭があれば、うちも切り替えるかもしれない。ただ、先生や友だちなど、こども園での生活に慣れていればそのまま残る」と言い、「篠山幼稚園は自分が出身ということや、きょうだいがいる小学校が一緒にあるので心強いと思って希望していた。『預かり保育があと1年早ければ』という思いはあるけれど、保護者にとって選択肢が広がるのはいいことだと思う」と話している。

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