兵庫県丹波市柏原町の山腹に白い円柱状の物体が林立している。その異様な光景に一部の住民からは、「墓標のよう」「ムーミンに登場するニョロニョロみたい」などの声が上がっている。
「あれはヒノキの苗木をシカの食害から守るカバー」と説明する丹波農林振興事務所。「土砂崩れによって失われた森を元の状態に戻すための事業です」と話す。
シカの食害防止のカバーは高さが1・7メートル。通気性や耐風性を考慮した網状で、素材は十数年で土に返る「ポリ乳酸」という植物由来のプラスチックでできている。FRP(強化プラスチック)製の支柱にクリップで留め、約35センチのヒノキの苗木を包んでシカの食害から守っている。
同事務所によると、「平成30年7月豪雨」(西日本豪雨)によって、同所で約3300平方メートルにわたって土砂崩れが発生。すそ野の民家などに土砂が流入する被害を出した。
治山事業として、昨年9月から崩壊した山腹に土留めのための擁壁や柵を設置し、ヒノキの苗木を590本植栽。今年3月に工事が完了した。工事費は約3330万円。