自分の可能性を探す旅
リーマンショックの影響で会社を解雇になり、その後、転職を重ね、今年2月、心の問題に取り組む“心理専門職”である臨床心理士の試験に合格。現在は、ハローワーク伊丹で主に精神障害や発達障害のある人の就職サポートなどに従事している。「苦難に思えることにこそチャンスと可能性があることを、身をもって体験しました」と話す。
大学卒業後、神戸市の人材総合コンサルタント会社に入社したが、1年4カ月で解雇。10人以上いた同期がリストラの対象になった。再就職した教育関連会社では、社用車を運転中に10トントラックと衝突する事故に遭った。3カ月で退社し帰郷。丹波県民局の事務補助として3年間、勤務した。
その後、ハローワーク柏原で勤務。労働者の職業生活設計などの相談に応じるキャリアコンサルタントの国家資格を取得した。仕事に励むなか、現状から抜け出したいと思いながら果たせず、葛藤している人たちに出会い、「心理的知識を知った上で、目の前の人にかかわりたいと思うようになりました」。
兵庫教育大学大学院心理学コ
ースに入学。キャンパスのある神戸市に転居した。夜間のコースで、昼間は働きながら勉強。在学2年間のうち1年間は、丹波市役所春日庁舎にあるワークサポートたんばで働いた。毎朝5時半に起き、神戸から春日へ。午後5時まで働き、神戸に戻って講義を受けた。課題をこなし、カウンセリング実習に励み、修士論文を執筆するハードワークの末、臨床心理士に合格した。
「どんなことも力に変えて進んでいける可能性が人間にはあります。自分の可能性を探す旅はとても楽しいですよ」。34歳。神戸市在住。