「実山椒」の収穫最盛期 緑色の粒にゆるむ頬 「ようなっとる」

2020.05.29
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収穫したての青々とした山椒の実を手にする足立全司さん=2020年5月25日午前11時6分、兵庫県丹波市青垣町文室で

朝倉山椒の実山椒が収穫の最盛期を迎え、大規模生産者の兵庫県丹波市青垣町の足立全司さん(84)のほ場でも連日、収穫作業が行われている。剪定を強くした今年は、550キロを出荷した昨年ほどの収量はないが、「ようなっとる」と、明るい緑色の粒に頬を緩ませている。

足立さんは個人では同市内屈指の大規模生産者。栽培本数は160本ほど。

栽培を始めて16年ほどになる。ある年、栗が凍害に遭い、植え直したところ、丹波栗の苗木をごっそり盗まれる被害に見舞われた。ほ場を見に来た栗栽培の先輩に、「栗もいいけど、山椒もいい」と勧められ、丹波栗のほ場の一部に山椒を植えたのが始まり。

凝り性で、朝倉山椒の本場、同県養父市に通って栽培技術を高め続けているほか、京都府南丹市や「ぶどう山椒」で知られる和歌山県有田川町にも足を運び、研さんを積んだ。

施肥は年3回。剪定は2月ごろ。栗の剪定を終えると、ただちに取り掛かる。根が浅く、踏んで傷めないように、脱粒した丹波大納言小豆のさやをほ場に大量にまき、足元をふかふかにしている。

収穫しづらいので、低樹高栽培するほか、重なる枝は取り除き、日光をしっかり当てて大粒に育てるなど、栗栽培と通じる部分が多いという。

20日に初出荷。予備日の最終日の29日まで出荷が続く見込み。摘んだまま屋外に置いておくと蒸せるので、品質保持のため3度の低温で出荷まで保管している。

「収穫を助けてくれる人がいるからできるが、家内と2人では到底無理。収穫が大変なのは栗と一緒。もうかるかなと思ったけれど、栗と似たようなものかな」と笑っていた。

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