新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が解除され、「新しい生活様式」に移行したとはいえ、感染への警戒から、兵庫県丹波市内で夏の地域イベントが軒並み中止になっている。ウイルスは目に見えない上、どこまで対策を講じれば良いのかが分からない事情もあり、安全性確保のために「大事をとって」開催中止判断が続いている。夏祭りは大半の校区や自治会が中止すると見られ、秋祭りや地域運動会をどうしたものか、と世話役は頭を痛めている。「村行事は日役くらい」というのが現状だ。
今年は夜空を焦がす花火がほとんど打ち上げられない寂しい夏になりそうだ。関係書類提出先の丹波県民局によると、昨年7、8月に市内で29件あった申請が、今年は2件にとどまっている。
丹波市の大規模な花火は、7月から始まり、8月24日の同市氷上町成松愛宕祭でフィナーレを迎える。夏休み中の小学校区の祭り、お盆の自治会の祭りでも打ち上がるが、祭り開催を見合わす校区や自治会が多く、それに伴って花火も少なくなっている。
「新しい生活様式」下で、兵庫県が示すイベント開催の目安は、18日までは、屋内が「100人以下かつ定員の半分以下の参加人数」、屋外が「200人以下、かつ人との距離を十分に確保」。目安は適宜見直される。感染が広がっていなければ、さらに大人数での開催が可能になる。
人数制限以前に頭が痛いのが、県や市が催物開催にあたって要請している「適切な感染防止対策の実施」だ。具体的に「何をどこまで対策しなければならないのか」が明らかでなく、主催者がイベントを回避する理由になっている。
バザーがあり、お酒も入る夏祭りは、「密を避けるのも、飛沫防止も難しい」(同市内の自治会長)と言う。
夏祭りは帰省客もあり、普段より村の人口が増える。密になりかねず、安全性が担保できないと、各自治会に夏祭りの開催を見合わすよう要請した自治振興会もある。
同市内の自治会役員は、「結果でものを言われる。主催する側に『責任』の二文字は重い。安全な側に役員が立つのは非難されるようなことではない」と言う。
自治協議会の活動支援などを行う同市のまちづくり指導員は、「相談はないが、よそはどうするのかと、情報提供を求められる」と、周囲の状況を見極めたい空気を感じている。別の自治振興会長はこのほど会議を開き、小学校とも関係する地区運動会や、秋のイベントの開催可否などを協議した。県が、イベントの人数制限を今後緩和することが予想され、18日以降の新たな方針を見て結論を出すことにした。自治振興会長の1人は、「コロナであれもやめ、これもあかんではさみしい。前向きに考えたい」と話した。
ある自治会の役員は、「秋祭りは神事だけにするのか、みこしを担ぐのか。例年通りの実施がしばらく前からしんどくなっている。この際だから、見直そうという意見がある一方で、自分が役員をしているときに変えたくないという意見もある。考えれば考えるほど、慎重になってできなくなる。中止したら、『やりたくないからやらないんやろ』と言われる。実施しても中止してもいろいろ言われるから、かなわない」と苦笑いしていた。